日本歴史改方

古墳時代、国家形成の基礎となった時代

古墳時代は日本の歴史において重要な転換期であり、国家形成の基盤が築かれた時代である。本記事では、古墳時代の定義、特徴、そして現代における意義について詳しく解説する。

古墳時代の定義と年代

古墳時代は、一般的に3世紀半ば過ぎから7世紀末頃までの約400年間を指す。この時代区分は、前方後円墳に代表される大規模な墳墓が盛んに造営された時期に基づいている。

時代区分

古墳時代は通常、以下のように3つの時期に区分される

前期(3世紀後半~4世紀後半)

文化の変化
古墳の形態
  • 碧玉製管玉:宝飾品として、また権威の象徴として副葬される。
  • 古墳の大型化:弥生時代の墓制と比較して、墳丘の規模が著しく拡大する。
副葬品
  • 銅鏡:中国製や国産の青銅鏡が重要な副葬品として用いられる。
  • 碧玉製管玉:宝飾品として、また権威の象徴として副葬される。
  • 宗教的・呪術的性格を持つ品々が主体:被葬者の祭祀的役割を反映する遺物が多く見られる。
社会構造
  • 大和地方を中心とした政治勢力の形成:のちの大和政権につながる中央集権的な政治体制の萌芽が見られる。
  • 氏族を基盤とした社会構造の発展:血縁的結合を基礎とする社会組織が発達する。

中期(4世紀後半~5世紀後半)

文化の変化
古墳の形態
  • 前方後円墳の全国的な広がり:畿内地方以外の各地域でも前方後円墳の築造が盛んになる。
  • 最大規模の古墳の出現:仲津山古墳(大仙古墳)など、巨大古墳が造営される。
  • 畿内地方における巨大古墳の造営:大和を中心とする政治勢力の影響力拡大を示唆する。
副葬品
  • 武器の増加:鉄製の甲冑、刀剣類が多く副葬されるようになる。
  • 馬具の出現:馬の導入に伴い、轡や鐙などの馬具が副葬品に加わる。
  • 実用的な品々の増加:権力の象徴としての性格が強まる。
社会構造
  • 大和政権の影響力の全国的拡大:各地の首長層が大和政権との関係を深める。
  • 中央集権的政治体制の基礎形成:古墳の規格性が高まり、中央の影響力が強まる。

後期(5世紀後半~6世紀末)

文化の変化
古墳の形態
  • 古墳数の増加:中小規模の古墳が多数造営されるようになる。
  • 地域色豊かな古墳の出現:各地域で独自の古墳様式が発達する。
  • 横穴式石室の普及:朝鮮半島の影響を受けた新しい埋葬施設が一般化する。
副葬品
  • 鉄製武器の増加:刀剣類や甲冑などの武器・武具が主要な副葬品となる。
  • 鉄製農具の増加:鉄製の鋤や鍬などの農具が副葬されるようになる。
社会構造
  • 地方豪族の台頭:地方における有力者層の勢力が増大する。
  • 被葬者層の拡大:古墳の被葬者が首長層から広範な官人層へと広がりを見せる。

また、7世紀に入ってからの時期を「古墳時代終末期」と呼ぶこともある。

古墳の特徴と種類

古墳時代を特徴づける最も重要な要素は、その名の通り「古墳」である。

主な古墳の形状

  1. 前方後円墳:最も代表的な形状
  2. 円墳
  3. 方墳
  4. その他:前方後方墳、双方中円墳など

特に前方後円墳は、3世紀半ば過ぎから6世紀末まで、北は東北地方南部から南は九州地方の南部まで広く造られた。

古墳の構造と副葬品

古墳の内部構造は時代とともに変化し、初期の竪穴式石室から後期の横穴式石室へと発展した。

主な副葬品には以下のようなものがある

これらの副葬品は、当時の社会階層や文化を反映している重要な資料である。

古墳時代の社会背景

古墳時代は大和政権の形成期であり、氏姓制度が発展した時期でもある。この時代、社会の階層化が進み、以下のような墳墓が造られた

  • 王族や貴族の大型古墳
  • 地方豪族の古墳
  • 一般人の横穴墓などの集合墓

古墳時代の終焉

6世紀の末までに前方後円墳の築造は終わり、方墳や円墳、八角墳が主に造られるようになる。646年の薄葬令により、古墳時代は事実上終わりを告げた。

古墳時代の意義と現代への影響

古墳時代は日本の国家形成における重要な時期であり、現存する古墳は当時の社会や文化を研究する上で貴重な資料となっている。これらの古墳の保存と研究は、日本の歴史と文化遺産を理解する上で重要な意義を持っている。

まとめ

古墳時代は、日本の古代史において大和政権の確立から律令制の導入に至る重要な過渡期であった。この時代に形成された社会構造や文化的基盤は、その後の日本の歴史に大きな影響を与えている。古墳時代の研究は、日本の国家形成過程を理解する上で不可欠であり、今後も考古学や歴史学の重要なテーマであり続けるだろう。

公開日:2024.09.04