貝塚
貝塚は、縄文時代を中心とした先史時代の人々が残した重要な遺跡である。これは、古代の人々が貝類を食した後に残した貝殻などが堆積してできた遺跡であり、単なるゴミ捨て場ではなく、人々の生活の痕跡を多く含む考古学的に貴重な場所である。
貝塚には、主にマガキ、ハイガイ、ハマグリ、アサリなどの貝殻のほか、動物の骨、土器の破片、石器、場合によっては人骨も含まれる。これらの遺物は、当時の人々の食生活や生活様式を知る上で重要な手がかりとなる。
貝塚研究の歴史は19世紀中頃にさかのぼり、デンマークのスティントルップやアメリカのヴァヌクセムによる調査が初期の例として挙げられる。日本では、エドワード・S・モースが大森貝塚を発掘し、日本の貝塚研究の先駆けとなった。
貝塚は、当時の環境復元に役立ち、先史時代の人々の生業や食生活を知る手がかりとなる。また、貝殻に含まれる炭酸カルシウムが有機物を保存するため、他の遺跡では残りにくい遺物が保存されている点で考古学的に重要である。
特筆すべきは、貝塚からは日常的な遺物だけでなく、特殊な品も出土することがある点である。例えば、千葉県の西広貝塚からは、オオツタノハ製の貝輪が多数出土しており、当時の広域交易を示唆する貴重な資料となっている。
公開日:2024.09.03