漢書・地理志
漢書地理志は、中国の歴史書「漢書」の一部であり、前漢時代の地理情報を記録した重要な文献である。後漢時代の歴史家である班固によって1世紀後半に著されたものであり、前漢時代の地理、行政区分、風俗などを記述している。
漢書地理志には、当時の日本(倭)に関する記述が含まれている。「楽浪海中有倭人,分為百余国」(楽浪の海中に倭人がおり、百余りの国に分かれている)という記述は、日本列島の政治的分裂状態を示唆するものである。また、倭人が定期的に中国に朝貢していたことも記されている。
「呉地」条には、東鯷(とうてい)国についての記述がある。これは会稽海外の二十余国の一つとして言及されており、台湾から琉球諸島にかけての地域を指すと考えられている。
歴史的意義としては、漢書地理志は日本に関する最古の中国正史の記述の一つであり、弥生時代の日本の政治状況や対外関係を知る重要な手がかりとなっている。また、後の「魏志倭人伝」などの中国史書における日本記述の先駆けとなったものである。
漢書地理志は、古代日本の姿を知る上で貴重な文献であり、当時の日本と中国の関係や日本の政治状況を考察する上で重要な資料となっているのである。この文献を通じて、我々は約2000年前の東アジアにおける日本の位置づけや、当時の国際関係の一端を垣間見ることができるのである。
公開日:2024.09.03