磨製石器
磨製石器は縄文時代に登場し、打製石器と並んで重要な道具となった。その特徴と主な種類は以下の通りである。
特徴としては、石材を研磨して作られること、打製石器より滑らかで精密な仕上がりであること、主に蛇紋岩などの軟らかい石材を使用することが挙げられる。
主な種類と用途は以下の通りである。
- 磨製石斧:短冊形で厚みがあり、蛤刃に磨き上げられる。大型の縦斧は樹木の伐採用、小型の横斧は木材加工用として使用された。
- 石皿とすり石:ドングリなどの堅果類を粉にするのに使用された。
- 石錘:上下に切れ目が入った漁猟用のおもりとして用いられた。
磨製石器の普及は、縄文文化における木材加工技術の進展に大きな役割を果たした。特に磨製石斧は、縄文時代の住居や大型木造建造物の構築を可能にし、生活様式の変化をもたらした。
製作工程の痕跡は、富山県朝日町の境A遺跡や宇奈月町の浦山寺蔵遺跡、愛本新遺跡などで発見されており、当時の技術水準を知る貴重な資料となっている。
磨製石器の出現は、日本の先史時代における技術革新の重要な一歩であり、より効率的な道具の使用を可能にした。この技術革新は、縄文時代の人々の生活や文化に大きな影響を与え、社会の発展を促進したのである。
公開日:2024.09.02