日本歴史改方

東山 建仁寺

京都市東山区にある臨済宗建仁寺派の大本山の寺院。本尊は釈迦如来。開基(創立者)は源頼家、開山は栄西である。かつて京都五山の第3位であった。「建仁寺の学問面」などと呼ばれる。寺号は「けんにんじ」と読むが、地元では「けんねんさん」の名で親しまれている。京都最古の禅寺。

俵屋宗達の「風神雷神図」、海北友松の襖絵などの文化財を豊富に伝える。山内の塔頭としては、桃山時代の池泉回遊式庭園で有名であり、貴重な古籍や漢籍・朝鮮本などの文化財も多数所蔵していることで知られる両足院などがある。

文化財

海北友松襖絵

海北友松によって桃山時代に描かれた方丈襖絵 「雲龍図」。近世初期の建仁寺復興にからんで海北友松が制作した日本を代表する水墨画群、重要文化財「建仁寺丈障壁画」五十面のうち礼の間を飾る八面の襖絵。

風神雷神図

俵屋宗達の真作として、しかも晩年の最高傑作とされている。二曲一双の屏風全面に金箔を押し、右隻に風神、左隻に雷神を描いている。現在は京都国立博物館に寄託しており、 建仁寺では、高精細複製作品の屏風画が展示されている。

双龍図

小泉淳作筆
法堂の天井いっぱいに阿吽の口をした2匹の龍が描かれる。阿形の龍は手に玉をつかむ。仏法守護として、また水の神として仏法の教えの雨(法雨)を降らせるたとえから、禅宗の法堂に描かれることが多い。建仁寺法堂は古くより龍は描かれず素木(しらき)とされてきたが、1年10ヶ月の歳月を経て、建仁寺創建800年を記念して平成14年(2002)4月に小泉淳作画伯の筆により完成した。

庭園

石庭 大雄苑(だいおうえん)

作庭家・加藤熊吉により昭和初期に作庭された枯山水式庭園。

潮音庭

大書院・小書院・回廊に囲まれた中庭。作庭家・北山安夫(きたやまやすお)が作庭。潮音庭には法堂(はっとう)の三尊仏(釈迦如来(しゃかにょらい)・迦葉尊者(かしょうそんじゃ)・阿難尊者(あなんそんじゃ)に見立てた三尊石が配されている。中心に据えられた三尊石は四方どこから見ても正面に見えるよう作庭されている。

歴史

建仁二年(1202年)将軍源頼家が寺域を寄進し栄西禅師を開山として、宋国百丈山を模して建立される。

その後、正嘉元年(1258年)東福寺開山円爾弁円(えんにべんえん)が当山に入寺し境内を復興、禅も盛んとなる。
正元元年(1259年)宋の禅僧、建長寺開山蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が入寺してからは禅の作法、規矩(禅院の規則)が厳格に行われ純粋に禅の道場となった。

年表

西暦出来事
1202年源頼家、京都に建仁寺を創建。6月、建仁寺に真言・天台・禅の三宗を併置
1205年建仁寺、官寺となる
1215年7月5日、栄西、建仁寺(一説に6月5日、寿福寺)にて寂
1246年宋僧蘭渓道隆・義翁紹仁、来朝
1258年5月14日、円爾弁円(聖一国師)、建仁寺(第十世)に住し、火後頽廃した諸堂を修復
1259年蘭渓道隆、建仁寺(第十一世)に住す
1305年冬、方丈再建
1341年8月23日、五山位次評定。建仁寺は第四位
1363年3月23日、青山慈永、建仁寺に住し、法堂を創建
1386年7月10日、京・鎌倉五山位次決定。建仁寺は第三位
1419年8月、「建仁寺式法」制定。10月9日、「山門条々規式」制定
1514年3月5日、月舟寿桂、開山栄西禅師三百年遠諱を厳修
1599年瑶甫恵瓊、安芸国安国寺より方丈を移築
1615年7月25日、古澗慈稽・三江紹益・利峰東鋭、硯学科を受ける。「五山十刹諸山之諸法度」制定
1628年三江紹益、浴室を再建
1664年2月10日、顕令通憲、開山栄西禅師四百五十年遠諱のため、前年から開山塔修理、合わせて祖像を新彫。この日、開眼法要をなす
1669年11月、仏殿の東北に鐘楼創建
1872年6月30日、荊叟東玟、建仁寺派初代管長となる
1877年妙心寺玉龍院から開山堂客殿を移築
1881年7月、石窓紹球、第二代管長となる
1889年5月15日、龍関古鑑、第三代管長となる
1892年黙雷宗淵、第四代管長となり、10月20日開堂
1913年5月5日、開山栄西禅師七百年遠諱を一年繰り上げて厳修
1921年7月、茶席「東陽坊」、開山堂の北側から方丈西北の現位置に移転
1923年遠江安寧寺の三門を譲り受け、望閣楼を再興
1931年6月3日、頴川恵恂、第五代管長となる
1940年12月、方丈再建落成。大書院(黄龍窟)、隠寮(清涼軒)新築
1946年4月1日、夾山泰祐、第六代管長に就任
1954年4月1日、益州宗進、第七代管長に就任。4月20日、四頭茶会始まる
1964年4月5日、開山栄西禅師七百五十年遠諱厳修
1989年8月5日、葆州素堂、第八代管長に就任
1999年8月5日、泰巌宗運、第九代管長に就任
2002年3月12日、老朽し解体されていた、浴室を境内北東から南東の位置に移築復元。4月14日、法堂大天井『双龍図』(小泉淳作筆)の開眼法要。10月15日、建仁寺開創八百年慶讃大法会厳修
2011年1月7日、大鐘楼修復落慶
2012年1月17日、三門「望閣楼」修復落慶。3月30日、四頭茶会、京都市無形民俗文化財に登録
2013年1月17日、開山堂楼門「寶陀閣」修復落慶。10月10日、大方丈修復落慶
2014年6月5日、開山栄西禅師八百年大遠諱厳修

公開日:2024.06.24