日本歴史改方

大鳥大社

大阪府堺市西区鳳北町にある神社。和泉国大鳥郡の式内社(名神大社)で、和泉国一宮。正式には大鳥神社である。旧社格は官幣大社で、現在は神社本庁の別表神社。
全国の大鳥神社および大鳥信仰の総本社とされる。
延喜式神名帳記載の名神大社であり、とくに防災雨祈の祈願社として知られた。本殿は大鳥造といい、「切妻造・妻入社殿」という出雲大社造に次ぐ古形式を保っている。

祭神

現在の祭神は日本武尊(やまとたけるのみこと)と大鳥連祖神(おおとりのむらじのおやがみ)。
元来の祭神は大鳥連の祖神であるらしかったが、一時期天照大神が祭神とされるようになった。「和泉国大鳥五社大明神并府中惣社八幡宮縁起」によると本地仏は釈迦如来となっている。
その後、日本武尊が祭神と考えられるようになり、これが定着した。これは大鳥神社の「大鳥」という名称と日本武尊の魂が「白鳥」となって飛び立ったという神話が結び付けられたために起こった習合であると考えられる。
以来、長い間にわたって日本武尊を祭神としてきたが、1896年(明治29年)に政府の祭神考証の結果を受け内務省の指示により、大鳥連祖神に祭神を変更した。その後、1961年(昭和36年)に大鳥連祖神にくわえて、日本武尊を祀った。
大鳥連は中臣氏と同じく天児屋命を祖神としていたので、大鳥連祖神は天児屋命ということになる。

大鳥大社と白鳥伝説

御祭神である日本武尊(ヤマトタケルノミコト)は西征して熊襲(くまそ:現代の九州南部で大和王権に抵抗した勢力)を平定し、東征して東国を平定したが、伊吹山で病に冒された。
大和を目指し帰途についたが伊勢国能褒野(のぼの:三重県亀山市)で薨去。
亡骸はその地に葬られたが、その陵墓から魂が白鳥となって飛びたち、最初に舞い降りた地が大和国琴引原(現:琴引原白鳥陵)。再び飛び立った白鳥は河内国古市に降りた。(現:古市白鳥陵古墳)

そしてまた飛び立った白鳥が最後に留まったのが大鳥の地で、社を建てて祀ったのが大鳥大社である。
大社にある千種森(ちぐさのもり)は、白鳥が舞い降りた際、一夜にして樹木が生い茂ったと言われている。

歴史

大鳥連が祖神を祀ったのが始まりだと考えられている。

年表

西暦出来事
823年積川神社とともに朝廷の祈雨の奉幣を受ける(『日本後紀』)。
842年和泉国泉穴師神社・積川神社とともに神階昇授を受け、従五位下から従五位上になる(『続日本後紀』)。
859年全国諸神とともに神階昇授を受け、従五位上勲八等から従四位下になる(『三代実録』)。
859年風雨のため、畿内諸神とともに朝廷より奉幣を受ける(『三代実録』)。
861年紀伊国御船神とともに神階昇授を受け、従三位となる(『三代実録』)。
927年『延喜式』神名帳に和泉国大鳥郡の「大鳥神社 名神大 月次新嘗」として記載される。
922年「大鳥大神宮五社流記帳」の奥書によると、神階は「正一位勲八等天照大明神一所」とされる。
平安時代別当寺として大鳥山勧学院神鳳寺が開山される。
鎌倉時代初期「大鳥五社」を形成し「大鳥荘」となる。
1224年承久の乱後、田代氏が地頭職に補せられ、争いが生じる。
南北朝時代「当国五社大明神」を形成する。
1159年平治元年、平清盛・平重盛が熊野参詣の途上で立ち寄る。
1575年織田信長が所領1300石を安堵する。
1602年豊臣秀頼による社寺造営で再建される。
1662年幕命により堺町奉行石河利政が再建。
1701年幕命により柳沢保明が修営。
1871年近代社格制度のもとで官幣大社に列格。
1876年政府の祭神考証により祭神を大鳥連祖神(天児屋命)に変更。
1905年8月落雷により社殿が焼失。
1909年12月現社殿が再建。
1948年神社本庁の別表神社に加列。
1961年日本武尊を祭神として追加。
2018年9月台風21号により被害を受ける。

公開日:2024.06.17