日本歴史改方

妖怪 其の壱 妖怪とは

妖怪とは何か

「妖怪」とは、日本の民間信仰や伝承に登場する、人間には説明がつかない奇妙な現象や、不可思議な力を持つ存在を指します。「おばけ」「もののけ」「鬼神」「化物」「魔物」など、さまざまな呼び名があり、超自然的・非科学的な存在として位置づけられています。
「妖」と「怪」の2つの漢字にはどちらも「あやしい」(得体が知れず、よくわからない)という意味があり、妖怪とは「よくわからない現象や存在」を指す総称です。何が妖怪かは時代や地域、受け取る人によって異なり、はっきりした定義はありません。

代表的な妖怪たち

  • キツネ(狐): 動物が人間に化けて悪戯をするという伝承が多い
  • テング(天狗): 山に棲むとされる超常的な存在
  • カッパ(河童): 川や水辺の怪異。人間を引き込むといった話がある
  • オニ(鬼): 恐ろしい力を持つ怪物として語られる
  • ユウレイ(幽霊): 死者の霊が化けて出るとされる存在

妖怪という言葉の誕生

「妖怪」という言葉が歴史上初めて文献に明確に現れたのは、奈良時代に記された『続日本紀』です。具体的には、宝亀8年(772年)の記事で「大祓、宮中にしきりに、妖怪あるためなり」と記述されています。これは宮中で繰り返し起こる説明できない出来事(天変地異や怪異)への対応として、大規模な「大祓」の儀式が行われたという記録です。
当時の「妖怪」は、現代のように具体的な姿や個性を持った存在ではなく、宮中に起こった怪しい現象や異常事態を指していました。宮中や社会の秩序に不安をもたらす変事(天候異変、疫病、怪現象など)は「妖怪」とまとめられ、儀式や祈祷でこれらの禍を祓おうとしていたのです。

現象から存在へ

時代を下るにつれ、そうした「怪異」(不思議な現象)に「姿」や「名前」を与え、存在として認識するようになりました。たとえば、夜道で「誰もいないのに足音がする」という現象が、やがて「べとべとさん」などと名前を付けられキャラクター化される、といった流れです。

公開日:2026.01.03