日本歴史改方

薄葬令

薄葬令(はくそうれい)は、646年(大化2年)に制定された葬儀に関する法令である。この法令は、当時の日本社会における葬儀や埋葬の慣習に大きな変革をもたらした。

主な内容

薄葬令の主な規定は以下のとおりである

  1. 墓の大きさと規模を身分に応じて制限する。
  2. 過度に大きな墓の建造を禁止し、これが貧困を招く可能性があると警告する。
  3. 遺体を特定の墓地に集めて埋葬することを義務付ける。
  4. 殯(もがり)、殉死、贅沢な副葬品の使用を禁止する。

目的

薄葬令の主な目的は以下の2点である

  1. 厚葬の抑制:権力者の葬儀に多くの財や労力を費やすことを防ぎ、民衆への過度な負担を軽減する。
  2. 身分制の確立:葬儀や墓の規模を通じて、身分別の秩序を確立する。

影響

この法令は、特に庶民の葬儀慣習に大きな変化をもたらした

  1. 殯(もがり)の衰退:それまで広く行われていた殯の儀式が、庶民には行えなくなった。
  2. 葬儀の簡素化:葬儀全体が質素になり、簡略化された。

歴史的背景

薄葬令は大化の改新の一環として制定された。この時期、中国から伝来した仏教が日本の葬儀儀礼に大きな影響を与えていた。薄葬令は、古来の葬儀慣習と新たな仏教的要素の融合を促進する役割も果たしたと考えられる。

歴史的意義

この法令の制定により、それまでの豪華で大規模な葬儀から、より簡素で規制された葬儀へと移行が進んだ。また、墓地の集約化や身分による墓の規模の差別化など、その後の日本の葬送文化に長期的な影響を与えた。

薄葬令は、古代日本における社会制度の変革と文化の変容を示す重要な歴史的資料である。この法令を通じて、当時の政治権力が民間の慣習にまで介入し、社会秩序の確立を図ろうとした様子が窺える。また、仏教の影響下で変化しつつあった日本の葬送文化の一側面を示すものでもある。

今日の考古学や歴史学の研究において、薄葬令は古代日本の社会構造や文化的変遷を理解する上で重要な手がかりとなっている。この法令の影響を受けた遺跡や遺物の分析を通じて、当時の社会や文化の実態がより明らかになることが期待される。

公開日:2024.09.05